念願だったサーバー分野への參入を果たした
少數(shù)精鋭のスペシャリスト集団の歩み

PCやインターネット上で扱う情報量は年々増加しているが、それらを処理するための「高速伝送技術(shù)」も進(jìn)化している。それら高速伝送に用いられているのが、高速伝送対応のための高速コネクタだ。ヒロセ自身は10年以上も前から、グローバルで活躍する大手通信機(jī)器事業(yè)者が手掛けるネットワーク機(jī)器へコネクタ提供を続けてきたが、サーバー分野への高速コネクタ提供を?qū)g現(xiàn)するのが長年の悲願だった。この思いを、営業(yè)と技術(shù)が一體となって葉えていったプロジェクトがある。

長年の悲願だったサーバー分野への期待

ネットワーク機(jī)器やサーバー機(jī)器などIT製品には、當(dāng)然ながら多くの高速コネクタが使われている。取り扱うデータ量が膨大になり、今ではギガビットの伝送速度が求められる高速コネクタは必須であり、なかには50Gbpsを超える速度を?qū)g現(xiàn)するものも必要になってきている。この高速コネクタを?qū)熼Tに扱っているのが、営業(yè)本部の山本だ。これまでも高速コネクタの拡販を図るべく、営業(yè)と技術(shù)が一體となって事業(yè)を進(jìn)めてきたという。

ただし、2005年頃から高速コネクタ事業(yè)を始めた當(dāng)初は、ルーターやスイッチなど基幹系のネットワーク機(jī)器とサーバー分野の両方へのコネクタ供給を目的としていたが、実際に成功したのは大手通信機(jī)器へのコネクタ採用のみで、サーバー分野へは進(jìn)出できていない狀況だったと當(dāng)時を振り返る?！府?dāng)時はネットワーク機(jī)器の分野で業(yè)績を伸ばしていましたが、実際にサーバー分野への展開を果たした2012年ごろには、ネットワーク機(jī)器だけでは將來的な事業(yè)の拡大は難しい狀況にありました。サーバー分野への進(jìn)出は我々にとっても悲願だったのです」（山本）。

ネットワーク機(jī)器での成功を収めていたヒロセが、サーバー分野への採用に至らなかったのには理由がある。一番はコストについての考え方であり、求められる品質(zhì)や使い方についてもネットワーク機(jī)器とは異質(zhì)のものだった?！竷?nèi)部に一般の人がアクセスすることがないため、基板にしっかりとコネクタをスペーサーなどで固定し、振動でも抜けないという強(qiáng)固な設(shè)計がネットワーク機(jī)器における考え方。対して、サーバーはできる限りコストが優(yōu)先され、そこそこでいいので安価に出して欲しというものがサーバーにおける考え方なのです」と語るのは、プロジェクト當(dāng)時は高速伝送に特化したチームを率いて北米のサンノゼに常駐していた技術(shù)本部の高田だ。他社にまねのできない特性を出せることがヒロセの競合優(yōu)位性であったため、どうしても考え方が合わない狀況だったという。

それでも、ネットワーク機(jī)器の場合は1つのプロジェクトで月數(shù)百～數(shù)千個のオーダーだが、サーバーの主力機(jī)種では月數(shù)萬～十?dāng)?shù)萬個、年間では數(shù)十萬個以上のロットになってくる。「高速コネクタを扱う事業(yè)部としては、是が非でも參入したい領(lǐng)域でした」と山本は熱く語る。

経験のない“セカンドソース”というビジネス

そんな狀況のなかで、サーバー分野進(jìn)出への足がかかりとなる案件が舞い込んだ。それが、競合が設(shè)計したコネクタのセカンドソースとして、ライセンス供與を受ける形でコネクタ製造を行うという案件だった。大手のサーバーメーカーでは、大量に使うコネクタは1社からの提供を敬遠(yuǎn)する傾向にあり、その案件も2社からのコネクタ供給がなければ採用に至らない狀況だったという。競合からセカンドソースとして製造して欲しいという話が舞い込んだものの、オリジナリティを大事にするヒロセの考え方からすれば、なかなか受け入れられないものだったのだ?！竼訕I(yè)本部としては、戦略的に取り組むことでサーバーメーカーのなかで評判を勝ち取っていくことが重要だと考えており、前向きにとらえていました。しかし、技術(shù)サイドや経営層からは後ろ向きな聲もあったのです」（山本）。

それでも、當(dāng)時営業(yè)本部の中にいた、高速技術(shù)の専門家である技術(shù)本部の永田からすれば、営業(yè)とともに高速コネクタ市場を広げていった経験から、「この案件を取らないと事業(yè)的な成長が期待できない」という危機(jī)感を持っていたと振り返る。そのため永田は、この案件を社內(nèi)的に通すためのマスタープラン作成にあたって、競合がコネクタ製造する米國工場に、生産技術(shù)部の技術(shù)者と共に出向いて製造工程を確認(rèn)したり図面からコストを算出したりしながら、投資額やロイヤリティの目安、利益の配分率となるアロケーションなど詳細(xì)なシミュレーションを行い、最悪な場合でも利益を確保できるシナリオを緻密に検証した?！父胜氤砷Lのドライバーとなるサーバー市場への展開を何としても果たしたいと考えていたのです」（永田）。自身で開発したコネクタに比べてどれくらいの利益が確保できるのか、不安とリスクを抱えながらも、「まずは物を納めていかないと新しい話は來ない」という見解のもとに、戦略的な案件として経営層も含めた社內(nèi)合意にこぎつけることに成功。セカンドソースというヒロセが初めて取り組むプロジェクトがスタートすることになったのだ。

一筋縄ではいかない困難なプロジェクトが始まる

もともとはサーバー分野への足がかりとして取り組んだプロジェクトだが、品質(zhì)や納期、価格などあらゆる面で課題を抱えていたものだった。まず品質(zhì)面では、競合が開発したコネクタそのものの設(shè)計に問題があり、サーバーメーカーからヒロセに対して改善要求が頻繁に寄せられることに。やむなく、ヒロセの量産工場があるマレーシアまで出向いて改良を重ね、それを中國にあるメーカーの工場へ持ち込むというプロセスを何度も繰り返さざるを得なかったという?！弗旦`バー分野への進(jìn)出が悲願だったからこそ、本來ならファーストベンダーの競合が対応すべき対策を積極的に、かつ迅速に対応していきました」と永田。すると、サーバーメーカーもヒロセに対して話をするようになるなど、信頼を勝ち取っていくことに成功する。

また納期についても、競合側(cè)が納期遅延を発生させていたことで、足りない分をヒロセに要求してくる狀況にもなっていた。そのため、安定して大量のコネクタが製造できるよう製造ラインにもヒロセ獨(dú)自の工夫を施したのだ?！笩o駄を省いた設(shè)備で、かつ効率の良い生産工程で製造することで、極力歩留まりを減らすように、生産技術(shù)部、製造技術(shù)部と共に知恵を絞りました。ヒロセのモノづくりの基本がここでも生かされています」（永田）。実は、當(dāng)初から注文數(shù)よりも多めに製造し、常に在庫を用意しておくという営業(yè)サイドの工夫も見逃せない?！父偤悉訾护胜い胜椤ⅴ谣恁护椁工挨斯┙oできる狀態(tài)にしておいたのです。売り上げを最大化するための在庫リスクをとったことが功を奏し、顧客から安心してもらえる狀態(tài)を作れました。」（山本）。

価格についても、納品を続けていくなかで競合に比べて安価にコネクタが提供できていることがわかってきた。競合の製造プロセスには無駄が多く、貴重な金屬材料も捨ててしまうという狀況も実際に見受けられたという?！钙焚|(zhì)もよく納期にも柔軟に対応でき、そして何よりも価格が安いということがサーバーメーカーに認(rèn)知され、信頼を勝ち得ていったのです」（永田）。その結(jié)果、次世代のサーバーに用いられる主要なコネクタの情報を、主要な供給元となるプリファードサプライヤーとして入手することに成功する?！弗互螗丧僵`スとして納品していなければ、そもそも話が來ることがなかった。我々が狙っていた主要コネクタの案件をようやく手にすることができたのです」と山本。さまざまな困難に直面したプロジェクトで苦労したことが、新たなビジネスにつながった瞬間だった。

念願だったオリジナル製品でのサーバー分野への進(jìn)出を果たす

ようやくサーバー領(lǐng)域で自社オリジナルの製品を手掛けるプロジェクトがスタートしたが、特にコネクタの小型化に関する要求が強(qiáng)く、半年ほど仕様が固まらず、毎週のようにサーバーメーカーからの要求が高田のもとに寄せられた。実は、當(dāng)初の要件からは20％以上の小型化が求められたのだが、その厳しい要求をクリアしていく中で、なんと世界一の高密度なコネクタを作り上げることに成功することになる?！袱蓼纼?nèi)部の設(shè)計が固まっていない早い段階にメーカーから聲をかけてもらったことが大きい?；澶闻渚€方法や筐體設(shè)計など、サーバーの公差設(shè)計の分野まで我々が入っていくことができました。先方からは“コネクタメーカーが、セットの機(jī)構(gòu)設(shè)計にここまで時間かけてくれるのか”と驚きの聲が上がるほど」と高田。メーカーの設(shè)計部隊とテレビ會議を通じて頻繁に議論を重ねていくなかで、當(dāng)時の競合他社はそのスピードについていけず、脫落していくことに。

ただし、すべてが順風(fēng)満帆とはいかなかった。実際にコネクタが完成してからも、さまざまな課題に直面する。特に大きな壁にぶつかったのが試作を?qū)g裝する段階だった?！讣訜幛工毪然澶搐盲皮筏蓼Δ趣いφn題を解消するために、コネクタの中で部品が動きながら実裝性を高めるという世界初の構(gòu)造を採用しました。設(shè)計上は問題ないのですが、しかし、実際に組み上げる段階で実裝不良が発生してしまったのです」と永田は説明する。実裝する臺灣のメーカーに試作品を持ち込んで実裝したところ、コネクタ內(nèi)部のブレードが動くためにどう基板に置けばいいのかの基準(zhǔn)が分からず、現(xiàn)場でうまく実裝できないという狀況だった。「サーバーメーカーは理解していたものの、実裝メーカーとしては初めて見るコネクタです。このコネクタの良さはブレードのフローティング機(jī)構(gòu)だからこそ、という説明を?qū)g裝メーカーに何度も説明し、少しずつ理解してもらっていったのです」（山本）。結(jié)果として、一部を固定したうえで何とかうまく実裝にこぎつけることに成功する?！冈囎鳏吓_灣、量産は上海で実裝するため、山本と何度も雙方に足を運(yùn)び、その都度フィードバックを受けて改善していった」と永田は當(dāng)時の苦労を振り返る。

それだけにとどまらない。量産の直前に、今度はコネクタ內(nèi)部で動くブレードが実裝後に飛び出してしまうという、実裝後にしか発生しないトラブルが起こったのだ?！袱工扦藢g裝して現(xiàn)地に発送しているサーバーもあったため、急きょ世界各地に出回っている製品に対して不良を改善するリワーク作業(yè)が必要になったのです」と山本。その際には、世界中に展開しているヒロセの現(xiàn)地法人に動いてもらい、數(shù)千枚のサーバー基板に対して処置を施すことになる?！冈O(shè)計上の見直しを行いつつ、出荷されたものに対してはいかに迅速に対処できるかが重要です。そこでアメリカ、中國、マレーシア、ドイツ各國の事務(wù)所に連絡(luò)し、その対処を依頼。わずか2週間あまりで応急処置を行うことができたのです」（山本）。このようなトラブルも逆にチャンスに変えていくことで、競合に比べてもクイックレスポンスだと評価を得ることにつながったのだ。

このコネクタが採用されたのは、同サーバーメーカーが手掛けるサーバーの最量販機(jī)種後継機(jī)（2017年7月発売）であり、ビジネスとしては順調(diào)な狀況にある。その環(huán)境を勝ち取ったのは、営業(yè)や技術(shù)が一體となって戦略的に取り組んだことももちろんだが、少數(shù)精鋭のスペシャリストたちがプロジェクトをそれぞれ推進(jìn)していったことが大きい?！敢话愕膜摔蠁訕I(yè)や技術(shù)などそれぞれ分業(yè)の形をとりますが、少數(shù)精鋭であるがゆえにそれぞれが全體像をしっかり把握したうえで動くことができました。その裏では、モノづくりの現(xiàn)場や品質(zhì)管理部門、購買部門、現(xiàn)地法人の営業(yè)?カスタマーサービスなど、多くの人が共通の思いを胸に前向きに取り組んでくれたことが成功の大きな要因です」と山本は振り返る。関係者全員のモチベーションを高めていく際にも、「セカンドソースのプロジェクトでは顧客の信頼を勝ち取っていきましたが、これは社內(nèi)に対しても同じこと。絶対取るという強(qiáng)い思いでその結(jié)果を示すことで、內(nèi)部の説得材料にもなります。セカンドソースで始まったプロジェクトですが、それが成功する事例の1つに認(rèn)めてもらうことができました」と永田は語る。

プロジェクトで得た経験を今後に生かす

今後については、すでにサーバーメーカーから複數(shù)の新たなコネクタに関する話が出てきており、ビジネスとして広がりを見せている。ただし、少數(shù)精鋭で進(jìn)めている部隊だけに、あまり風(fēng)呂敷を広げずに今回のプロジェクトにて開発したコネクタ技術(shù)が生かせる次世代版の開発や派生したものの開発に絞っていく方針だ?！袱长欷蓼扦渭夹g(shù)をさらに高めていきながら、今までやっていないことも含めて新たな挑戦をしていきたい」と山本は語る。解析の立場からは、現(xiàn)在サーバー領(lǐng)域で主流のPCI Expressの後継についての対応を検討しているという?！袱工扦舜问来我?guī)格が登場しており、高速コネクタはこれからも進(jìn)化が求められます?，F(xiàn)狀の構(gòu)造でどこまで対応できるのか、できない場合はどう改善していくのかという話をすでに進(jìn)めているところです」と高田。

すでにこのプロジェクトは後任に託している永田だが、得られた経験を歐州の顧客向けに生かしながら提案活動の支援を続けている。「グローバルなビジネスでいうと、顧客の情報を正確に入手して、きめ細(xì)かな提案をしながら早く回していく。そのためにも、現(xiàn)地には高田のようなスーパーエンジニアが必要だと実感しています。さまざまな場面で今回の経験を生かしていきたい」と永田。山本も今回のようにここまでの規(guī)模感で多くの人が関わるプロジェクトは初めての経験だった?！干鐑?nèi)の人間も含めて、顧客とのメールのCCには50名を超える人が入るほど関係者が多いプロジェクトでした。自分の発言にも大きな責(zé)任が伴うので、顧客と現(xiàn)地の方をどうサポートしていくのか、學(xué)びの多いプロジェクトでした」と山本は振り返る。

サーバー領(lǐng)域という大きな市場への扉を開いた今回のプロジェクト。他のサーバーメーカーへの展開も視野に入れながら、少數(shù)精鋭部隊として最適な形でリソースを集中させていくことがさらなる市場拡大に向けて求められてくる。プロジェクトで培ったグローバル市場での経験を武器に、ヒロセの高速コネクタが、サーバー分野でシェア拡大を果たしていくことだろう。